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年間のテーマ

2014.2.13  参観日
2012.4.13 入園式・
     母の会にて
2010.4.1 入園式・
     母の会にて
2009.9.11 祖父母参観日
2009.4.14 母の会にて
2008.5.14 参観日にて
2008.4.1 入園式あいさつ

園長先生から
 
 おはようございます。今日はようこそお集りくださいました。ありがとうございます。
たくさんのお母さん・お父さんがこられたことを、子どもたちも私も嬉しく思っています。
 4月の参観日で、子どもを「ほめてあげよう」というお話をしましたが、みなさん毎日ほめていますか。毎日10回はほめているという人、手を挙げて。・・・誰もいない。3回はほめているという人? ああ、少しいらっしゃいますね。それでは、1回はほめているという人?
だいぶいらっしゃいますね。ほめるって案外難しいですね。どうぞいろいろ工夫して、たくさんほめてあげてくさい。
 さて、今日は『いじめ』について、お話ししたいと思います。
いじめることは悪いことであって、けっしてあってはいけないことです。しかし人間の長い歴史の中で、今日でも争いなどが絶えないというのは、私たち人間の中に何かそういったいじめる気持ちというものが、何かのきっかけで出てくるのかもしれません。ですから大切なのは自分にそんな気持ちがあることを知って、なるべくそれを抑止していくことではないでしょうか?
 子どもたちにいじめをさせないということは、いじめる人間を育てないということです。それが私たち親にとっての、義務ではないかと考えます。
子どもたちの周囲は情報であふれかえっています。この情報は子どもの発育にとって、良いと思われるものばかりではありません。(すべて大人が作っているのですが)中には、いじめをお笑いにしたり、誘発するような過激な表現も制限なしに放送されているように感じます。その情報から子どもたちを守るのは、親の役目です。
 そこで提案ですが、大人向きのテレビを一緒に見るのをやめたり、週に一回でも二回でもテレビをつけないで食事をする日をつくってはどうでしょうか。ご家庭の事情によって形は様々でしょうが、そういう時間を持つことで、子どもの話をゆったりと聞く時間を増やしていってほしいと思います。
  ところで、誰しもわが子に幸せになって欲しいと、願っていらっしゃると思いますが、今はまだ幼いわが子ですが、仮に40、あるいは80歳まで生きると考えてみた時、その人生においてずっと幸せであり続けるということができるでしょうか。
 順番どおりに仮にいったとしても、まず両親(皆さん)や自分の愛する人々と別れていかなければなりません。病気や老いの苦しみ、そして、生きていること自体の苦しみ悲しみ。そう考えてみると、ずっと幸せであり続けるということはあり得ないのではないでしょうか。もしかしたら幸せな時間というのは、短いのかもしれませんね。悲しいこと、苦しいこと、楽しいこと、幸せなこと、きっといろんなことがあると思います。生きている以上、これは避けては通れません。
 それでも子どもたちには、「私、生まれてきてよかった。」という人生を送ってほしいと思いませんか? これが親のせつなる願いではないでしょうか。そう思うと、この子はこんなことが出来る、こんなことが出来ない、なんてことは大した事ではなくなってくるのではないでしょうか。
 さて、子どもたちにも必ず欲望の対立があり、意見の対立があります。そのとき必ず競り合いがあります。ケンカがあり、いろいろなことがある。それは仕方のないことです。でも『いじめ』というのは、その人の人格すべてを否定してしまうということです。その行為によって、その人から笑顔を奪い去ってしまうのです。
 ここで、ほめるということをもう一度考えてみてください。
ほめるということは、その人すべてをほめてあげることだと思います。あなたがやったことをほめるのではなくて、ほめられるようなことをしたあなたが素晴らしいと、ほめてあげてほしいのです。そして叱る時は、あなたのやったことが悪いのだと、「した行為」を叱ってあげてください。
 時々、「あんたがこういう人間だから、こんなことをするのだ!」と叱る場合があるかもしれません。しかし、そういった叱り方は良くありません。その子どもの人格すべてを否定することになるからです。夫婦で喧嘩する時もそうですが、お互いのした行為を責めるのは良いと思います。「あなたはこんなことをしたけど、それは違うのではないかと思う。私は不愉快に思います」と伝える。しかし、その人のすべての人格を否定する責め方は、良くありません。そんな親の姿を子どもたちが見ていたら、子どもたちは同じようにまねをしてやってしまいます。人格を否定するようなやり方でケンカをし始めるのです。
 もういちど確認します。
◎ ほめる時はその人のすべて、その人の人格すべてをほめてあげてください。
◎ 叱るときはその人のやった行為を叱ってあげてください。
 親がそのような姿を見せることが、いじめる子どもを育てないことにつながってゆきます。
 それからもうひとつお話ししたいのは、ほめられ方です。
私たち日本人は、ほめられると「そんなことないですよ」と否定し謙遜しますが、ほめる側にとっては、ほめた対象には喜んでほしいと思うのではないでしょうか。
そんなふうに考えて、お子さんにほめられたら「ありがとう、とっても嬉しいわ!」と言ってあげてみましょう。例えば「今日の料理美味しいね!」と言われたら「まあ、そんなことないわよ」と言うより、「ありがとう! とってもうれしいわ!!」と言うと、きっとほめたほうもうれしいはずですし、そうすることで笑顔の輪が広がっていきます。
 先ほど人格を否定しない、という話をしましたけれども、思春期のころになると自分の人格を否定されることによって、違う世界が見えるようになることがあります。私たちは、とても尊敬する他人から人格を否定されることによって、その人を乗り越えてやろうというエネルギーをもらう場合があるのです。
 しかしそんな時でも、親は絶対に子どもの人格を否定するようなことを言わないでください。親やとても近しい者から人格否定されると立ち直ることができません。自分が頼っていたものから裏切られた気持ちになって、自分の本当によりどころとしている居場所を失ってしまいます。ですからお願いします。わが子の目の前で、その人格を否定するようなことは絶対にしないでほしいと思います。その子の行為を、「それはよくないよ、こうしたほうがいいよ」ということは言っても、人格は否定しないように心掛けてみてください。否定された言葉は心の中に残っていきます。ほめられた言葉も残っていきますが、否定された言葉も心の中にまた残っていくのです。なるべくなら親から否定された言葉を残さないように、親である私たちが心掛けください。
 嬉しいこと、楽しいこと、そこには必ず笑顔があります。避けることのできない辛苦を受け入れつつ、それでも「私、生まれてきてよかった。」と思える人生を歩む人というのは、きっと生涯の笑顔の回数が多すぎて数え切れない、そういう人のことを言うのではないかと思うのです。
 本日はようこそのおこしでした。ありがとうございました。
長府幼稚園園長 (2008.5.14 参観日にて)
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     最近読んだ本
「ないおん6月号」・「ほめる技術、しかる作法」伊東 明・「いじめ防止実践プログラム」尾木直樹

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